パーミッションレスプライベートブロックチェーン
LTO Network Japan Twitter/Telegram
私が、知り合いのブロックチェーン開発者や愛好家に私達にパーミッションレスプライベートブロックチェーンの解決策を持っていると言うと、皆一様に怪訝そうな顔をします。
プライベートなものとパーミッションレスなものの共存が矛盾のように聞こえるのでしょう。さて、この点を見ていきましょう。
これらの概念を理解するために、まず、パブリック型のパーミッションブロックチェーンとパーミッションレスブロックチェーンの違いを見てみましょう。
RippleやEOSのようなパーミッションパブリックネットワークにおいて、管理者は特権を持つパーティーを任命できます。 この場合、一般には稼働できないレベルの能力でノード設定する事ができます。
Ethereumのようなパーミッションレスパブリックブロックチェーンでは、そのような特権を有する一部のパーティーは存在しません。誰もがノードを稼働してネットワークに参加し、トランザクションをブロードキャストブロックを生成することができます。
また、あなたがそうではなかったとしても、私だけがEthereumネットワークにより一定の行動を許可されているという可能性もあります。 スマートコントラクトでは、コントラクトが指定する者によってのみ実行され、他の人によっては実行されないアクションを定義することもできます。
したがって、パーミッションレスブロックチェーンとは、ネットワークレベルでの特権が存在しないことを意味します。 スマートコントラクトによりチェーンにデプロイされたロジックは、パーミッションを定義します。
パブリックのパーミッションネットワークと同様、誰もがプライベートのパーミッションレスネットワークにノードとして参加することができます。ただし、パブリックブロックチェーンとは異なり、他ノードはその存在を認識するだけで、データを共有しません。
これらプライベートネットワーク上のスマートコントラクトは、誰がコントラクトアクションを実行するのかを許可するだけでなく、誰がコントラクトと関連データの読み取利の実行を許可されるかについても定義します。
プライベートパーミッションレスの解決策は共有可能な単一チェーンを作成するものではありません。 その代わり、スマートコントラクトのインスタンス毎に独自のアドホックチェーンを作成します。
パーミッションレスプライベートネットワークにスマートコントラクトを導入すると、関連付けされたプライベート(サイド)チェーンが自動的に作成されます。
また、単一のノードが複数のアドホックチェーンを保持しますが、それら全てを保持することはありません。
例えばこれは“git”と比較することができます。gitでは単一システムが複数のリポジトリを保持しています。
読み取り権限は特定のノードに対してではなく、特定の個人または組織(暗号化署名によって識別)に付与されます。これは、Ethereumにおいてスマートコントラクトアクションの実行特権を付与されるのに似ています。
各コントラクトには識別子(またはアドレス)が存在します。ノードはURLの形式のアドレスも保有しています。コントラクトと関連するチェーンのコピーの取得には、コントラクトIDとそのコピーを持つノードのURLの両方を知る必要があります。
プライベートアドホックチェーンのコピーを要求してコントラクトへの参加を開始するには、任意のノード(自身のノードまたは信頼できるノードのみ)を使用します。ノードは、ネットワーク上の全情報ではなく、ユーザーへのサービス提供に必要なデータのみを保持します。このアプローチは、エージェント主体のソリューションとしてHolochainによって考案されました。
プロジェクト
このシステムで解決できる課題には多種多様な種類があります。これらはプライベート、パブリックのパーミッションネットワークによる解決策では対処できないものです。
ちなみに私は、プライベートパーミッションレスコンポーネントを使ったアクティブなプロジェクトは3つしか知りません。
Holochain
この分野で最もよく知られているプラットフォームはHolochainです。
分散アプリケーション用のこのプラットフォームでは、ユーザーが知る必要がある時にのみピアツーピアで情報を共有します。
Holochainは、分散ハッシュを通じて検証可能な個々のエンティティとしてトランザクション処理を優先し、共有ハッシュチェーンを完全に放棄します。
LTO Network
私たちのプロジェクトであるLTO Networkは、多国籍企業や政府をターゲットにした、トラストレスワークフローの実行を目的としたプラットフォームです。 このプロセスにおいては、プライバシーとGDPR準拠に重点が置かれています。
LTO Networkはスマートコントラクトをライブコントラクトに置き換えます。ライブコントラクトは、オンチェーンロジックとオフチェーンインストラクションの両方を定義しています。
Monet
Monetは、アドホックで短期チェーンを構築するためのプロジェクトであり、モバイルデバイスが参加者のノードとして機能します。
双方向の参加者が行き来し、そのロケーションに基づいてノード検出するため、コラボレーションは流動的となります。
LTO Network VS Ethereum & Hyperledger FABRIC
LTO NetworkとEthereumでパブリックのパーミッションレスチェーンとの比較をして、Hyperledger Fabricとでプライベートのパーミッションチェーンと比較していきましょう。
概念レベルでパブリックとプライベート、パーミッションとパーミッションとの比較のみに焦点を当てていきます。
Ethereum上のプライベートデータ
Ethereumは急速な進展を遂げて、分散型ブロックチェーンアプリケーションの最も一般的なプラットフォームになりました。強力な開発者コミュニティが豊富なエコシステムを備え、ブロックチェーン技術を利用したアプリケーションを構築する際に、まずEthereumを検討することは理にかなっています。
Ethereumに関する全情報はオープンかつパブリックネットワークそのものです。全ノードにレジャーのコピーが存在します。これは、全ノードがスマートコントラクトで定義されたコードを実行し、現状を計算する必要があるためです。
ヨーロッパのGPDRのように、組織や企業はプライバシーを尊重・保護する規制に縛られています。しかし規制の有無に関わらず、組織は常にパートナーや顧客とのやり取りを世界に公開する事は望んでいません。
暗号化データはスマートコントラクトでは処理できないため、基本的な暗号化を利用したソリューションは誕生していません。その部分に対応した準同型暗号化のような進歩した技術は、いつの日か誕生するかもしれません。ただし、暗号化データに対するやり取りは、組織が最も望むものとなっています。
Ethereum上でのハイブリッドソリューションに取り組んでいるプロジェクトがいくつかあります。いくつかのデータが連鎖してスマートコントラクトで参照されるといったものです。これは適用可能な良いアプローチですが、その情報が公に共有されるべきではないものである場合、Ethereumの機能をフル活用できていないのに、利用の代価を払っているという状況に陥ります(文字通りガスで)。
これにより、多くの組織においてプライベートなEthereumネットワークの構築や、より一般的なHyperledger Fabricの使用などの自己管理によるパーミッションレスプライベートブロックチェーンに対して関心を持つようになりました。
Hyperledger Fabric と所有権
企業がブロックチェーンを使用すると、現状では一般的にHyperledger Fabricが対象となるでしょう。 IBMがサポートする汎用のパーミッション型のプライベートブロックチェーンです。
データが全ノードと共有され、スマートコントラクトで処理されるという点ではEthereumに似ています。ただし、HyperledgerはSideDBをネイティブサポートしているので、特定ノードとのみ共有できるデータも存在します。
一見して、自身でブロックチェーンを所有管理することは素晴らしい事のように思えます。 Hyperledgerはコンソーシアム型ブロックチェーンとして知られ、既存のコンソーシアムでの統制構造が整っている場合は正しいソリューションであると言えます。
そうでない場合は、個々の組織がブロックチェーンを設定することになります。この部分が問題になるところです。パーミッションネットワークは、パーミッションレスブロックチェーンのように活用の場を平準化しません。
ブロックチェーンの価値は、分権化によりもたらされます。ユーザーがネットワーク上の唯一のパーティーである場合、そこから得られることはほとんどありません。この場合の課題は、他の人をあなたのネットワークに参加させることになります。
既に権力の不均衡がある場合、当事者は自身の(集中型)システムの使用を強制することができます。競合他社や不均衡な利害関係を有する当事者はネットワークに参加する可能性が低く、独自ネットワークを構築する可能性が高くなります。
コンソーシアムブロックチェーンの作成は、最終的にコンソーシアムの作成を意味します。これは規則や規制、会員手続き等を必要とします。他の諸経費と同様、維持費もかかります。これらの努力を経て採用しても、この活用は他のコンソーシアムのメンバーとの間でのみ可能となります。
パーミッションレスネットワークでは、ケースバイケースであらゆるパーティーとコラボレーションできます。
パーミッションレスプライベートネットワークを使用すれば、企業はコンソーシアムの作成や、情報を公に共有することなくコラボレーションすることができます。
パーミッションプライベートチェーンとは異なり、全LTOノードは互いに通信でき、誰も制御することのない単一のネットワークを形成します。
LTO Networkでは、パブリックレイヤーの機能はデータとイベントの検証に限定されています。 もしあなたがネットワーク上の誰とでも共有・対話したい場合は、プライベートパーミッションレスは正しい解決策ではないでしょう。
ネットワークの種類にかかわらず、全てのクライアントやパートナーおよびサプライヤを参加させるのは困難です。 LTOは、単一のノードで、集中型のワークフローエンジンとしても使用できます。準備次第で他の人も接続できます。
分散化は機能であり、製品ではない。
-ジャクソンパーマー
パーティーは、ケースバイケースで互いに合意し、ライブコントラクトで定義します。
ライブコントラクトは、(フローチャートとして)視覚化し、組織の意思決定機関により議論可能なように構築されています。 このように、ブロックチェーン契約は他のタイプの契約と同じ方法で処理可能です。
ブロックチェーンは、ユースケースを無視して抽象的に扱うべきではありません。 分散型P2Pマネーがブロックチェーンから必要とするものは、組織が必要とするものとは全く異なるのです。